指タッピング運動パターンでアルツハイマー型認知症を早期発見

ニュースと考察

認知症のタイプで、最も多いのはアルツハイマー型。
早期発見ができる場合は、投薬で病気の進行を遅らせることができますが、アルツハイマー型認知症は初期から「物忘れ」の症状が出るのが特徴です。

さて、この「物忘れ」。

それは加齢によるものなのか? それとも病気だから?
判断がつきにくく、重症化してようやく病院の診療を受ける人も少なくありません。

先日、健康長寿支援ロボットセンターと日立製作所の共同研究により、アルツハイマー型認知症に特有の指タッピング運動パターンの抽出に成功したことがわかりました。

国立研究開発法人国立長寿医療研究センター(理事長:鳥羽 研二/以下、長寿医療研究センター)は、両手指のリズム運動に着目した臨床研究を行い、両手の親指と人差し指のタッピング運動から、アルツハイマー型認知症特有の運動パターンの抽出に成功しました。

本成果は、株式会社日立製作所(執行役社長兼CEO:東原 敏昭/以下、日立)が開発した指タッピング運動波形の解析技術により、磁気センサを用いた運動機能の計測結果から、親指と人差し指の接触時間のばらつきなど、タッピング運動の多様な動作パターンを抽出することで得られたものです。

将来、アルツハイマー型認知症の早期発見を支援する検査法の確立に道を開く成果です。

現在、アルツハイマー型認知症を早期発見する検査は、血液検査や嗅覚テスト、医師の問診など。
このスクリーニング検査や、被験者の負担が少ない検査として、ボタン押しや片手の手指運動計測による認知機能評価も行われているものの、どちらも検査精度は十分とは言い切れないのが現状。

そこで、国立長寿医療研究センターと日立製作所が着目したのは「認知症の重症患者は音に対する左右の脳の連携が遅くなる」点。
2013年より、この点に着目し、両手の親指と人差し指の運動計測の有効性を検証するための臨床研究を開始したそうです。

今後はさらに計測と解析、検証を重ねていき、アルツハイマー型認知症の早期発見に向けての簡易検査法の確立に取り組む方針です。
簡単に診断できる検査方法が広まっていくと、記憶障害が生じて不安に思っている人が病院に行きやすく、受診率も高くなることでしょう。

プレスリリースはこちら。
国立長寿医療研究センター
日立製作所

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