認知症の徘徊。発見に時間がかかるにつれ生存率は低下

2016年6月7日ニュースと考察

認知症の人の徘徊が問題になっています。

認知症とはいえカラダは元気なので、歩き回れる体力のある人は家の中も外も歩き回ってしまう。
なかには家族の誰かが外出をしたことを忘れてしまい、どこかへ「探しにいって」しまうケースも。

認知症の方が人知れず家の外に出てしまうと行方不明になることも考えられます。
その数は年間1万人にも上るそう。

なお、症状が進行していると、住まいの住所や電話番号が的確に答えられないこともあります。
よって、保護されても家族への連絡が遅れてしまうことも考えられます。

さて、徘徊で行方不明になった認知症の人は、発見に時間がかかるほ生存率が低下していく傾向にあり、当日中に見つかれば8割以上が生存しているという、興味深いデータが発表されました。

(前略)
調査は桜美林大老年学総合研究所の鈴木隆雄所長らが厚生労働省から研究費を受けて実施。2013年度中に認知症が疑われる状況で警察に行方不明者届が出された1万322人のうち、死亡した388人を含む776人の家族に調査票を郵送し、全項目で回答のあった204人分を分析した。

発見されたのが行方不明になった当日なら82・5%が生存していたが、翌日ならその日に発見された人の63・8%、3~4日目は計21・4%と低下。5日目以降の生存者はいなかった。亡くなった人の4割以上が程度の軽い認知症で、研究班は「軽度だからという先入観を持ってはならない」と警告している。

徘徊中の高齢者の発見者は、家族や捜索関係者以外が半数を占めた。鈴木所長は「地域社会の協力が早期発見につながる」と話す。(水戸部六美)

朝日新聞デジタル 2016年5月26日08時26分 より引用

最近では、認知症による徘徊を防止する方法としてさまざまな製品があります。

以前、介護用品の展示会にうかがった時「認知症の人は携帯電話や鍵を持って外出することはあるけど、身についた習慣から靴は必ず履くんですよね」というお話を聞き、個人的に興味を持っているのはインソールの下にGPS端末を入れるシューズ。

上の写真は株式会社チェリー・BPMさんが独自開発された超小型GPSを搭載したシューズ。現在地がすぐに地図上で確認できるので、早めの発見が期待できるはず。

他にもいろいろな会社からGPS搭載の靴が販売されていますが、最近ではこんなスタイリッシュなデザインも。

また、初期費用はかかるものの、月間使用料2000円以下でレンタル可能な製品もあります。
家族の徘徊でお悩みの方は、ぜひ利用してみてはいかがでしょうか。

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