注文を受け、1人分から配達。銚子電鉄の高齢者向けサービス
上の写真は漁港の町、銚子にて。
土地柄、海鮮ものが有名ですが、忘れてはならないのが「ぬれ煎餅」。
しなっ、むにゅっとした独特の食感と香ばしいお醤油の風味がクセになる味わいです。
銚子市内にはいくつかのお店がありますが、一躍その名を広めたのは銚子電鉄の「ぬれ煎餅」です。
鉄道会社がなぜぬれ煎餅を?
実は銚子電鉄と「ぬれ煎餅」は切っても切れぬ関係。
廃線の危機に見舞われた銚電はぬれ煎餅のオンラインショップを立ち上げ、購入を全国に呼びかけたところ、多くの人からの支援を受けることができ、奇跡の復活を果たしたのです。
「ぬれ煎餅買ってください。電車修理代を稼がなくちゃいけないんです」という異例のお願い文に端を発した、再度のぬれ煎餅ブームでした。
(中略)公式サイトにこの一文が掲載されるや否や、全国から銚電オンライン・ショップに一万五千件もの注文が殺到し、これを契機として運行維持への弾みがつき、最終的に倒産の危機を回避することができたのでした。(銚子電鉄株式会社 銚電ストーリーより引用)
一躍、「ぬれせん」で全国区となった銚電ですが、そのアイデアを発揮し、最近では地元の高齢者を対象にした取り組みを始めています。
それが「楽く楽く買物サービス」。
全人口の3割が65歳以上という銚子市。銚子駅~外川駅(全長約6.4km)を走る銚電は、ピーク時の利用者は約150万人でしたが、現在はその半数以下の約40万人程度。
沿線で営業していたスーパーも閉鎖し、買い物に出かけるのにタクシー代が3000円もかかる人もいる。この現況にたいして銚電は注文を受けた商品を一人分からお客様のお宅に配達するサービスをスタートさせました。
お客様には手渡しを基本としていて、今後は電球を交換するサービスも。
この取り組み、生協の宅配ネットワークのように、高齢者の見守りサービスにも通じるものがあります。
利用する側は地元ならではの親近感もあるし、商品の受け渡しを通して、コミュニケーションが生まれるし。「地産地消」ではないけれど、土地の人のことは土地の人で解決していく、という姿勢を感じます。
余談ですが、銚電はネーミングライツ事業(命名権販売のこと。渋谷公会堂もサントリーが命名権を購入し「C.C.Lemonホール」とよばれた時代もありましたね)も推進していて、先月、発着点の外川駅の愛称が「ありがとう」に決まりました。
命名したのは千葉県松戸市に本社のある住宅建築会社「早稲田ハウス」で、180万円で命名権を購入したそうです。
ところで、日本には買い物に困る「買い物弱者」といわれる人たちがいます。
その数、約700万人。
近くにお店がない、交通が不便、といった土地に暮らす人たちにとって、自分たちの出かける「足」もそうですが、来てくれる「人」も大変重宝されます。銚電の「楽く楽く買物サービス」のようなコミュニケーションも生まれるサービスが、これからいろいろな地域で生まれてくるかもしれません。
先日、藤沢市で初の認証実験を行ったロボットタクシーなども、やがて買い物弱者の方々のニーズを満たす存在になるのでしょうか。
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