特殊詐欺「会話内容が自動的に録音されます」の心理効果

ニュースと考察

おれおれ詐欺(このネーミング、よく言い得てます)をはじめする特殊詐欺ですが、最近はいろんな手口があります。
記事を書くあたり、ちょっと調べてみました。

◯オレオレ詐欺

◯架空請求詐欺(支払え詐欺)

◯融資保証金詐欺(貸します詐欺)

◯還付金等詐欺(返します詐欺)

◯金融商品等取引名目の詐欺(もうかります詐欺)

◯ギャンブル必勝法情報提供名目の詐欺(もうかります詐欺)

◯異性との交際あっせん名目の詐欺(紹介します詐欺)

詳細はこちらの長野県警サイトに。
とてもわかりやすくまとめられています。

2015年上半期(1~6月)に全国の警察が把握した「特殊詐欺」の被害総額は236億5233万円。
警察庁のまとめでは、昨年同期より約33億円(12%)減り、これは5年ぶりに上半期の被害減少を記録。

しかし、統計を始めた2004年以降、2番目に多くあいかわらず高水準。
関東地方は減少したものの、北海道と中部、中国、九州地方は増加したといいます。

その手口は「おれおれ詐欺」が約86億円(7%増)が一番多く、次に「架空請求詐欺」の約85億円(20%増)だそうです。

特殊詐欺が増加した九州地方にある福岡県では、こうした状況に対応するため、特殊詐欺被害を防止する自動録音機を無償で提供するそうです。

特殊詐欺録音機、高齢者に無償で貸し出し

深刻化する特殊詐欺被害を防ぐため、福岡県は11日、高齢者に固定電話用の自動録音機1337台を無償で貸し出すと発表した。

着信時には「会話内容が自動的に録音されます」という警告音声も流れ、被害抑止が期待できるという。

同県内の被害額は今年1~7月ですでに13億円を超え、過去最悪だった昨年1年間を上回った。大半は固定電話にかかってきた通話がきっかけになっているため、録音機導入を決めた。

2015年8月12日 読売新聞より引用

■「会話内容が自動的に録音されています」というアナウンスが効く

「会話内容が自動的に録音されています」という音声は、心理学でいうネガティブフレーム(恐怖心をあおるときに使われる)に似て、自分が悪事を働いていることを意識させる効果があるように思う。

被害者は高齢者が多いとはいえ、最近では相手をぎゃふんといわせるよう、こんな会話のネタを考える人もいる。
ある人のアイデアだ。

おれおれ詐欺師が、
「おばあちゃん、彼女が妊娠しちゃって中絶するしかないんだ。だから、今すぐお金を振り込んで…」
と電話をかけても
「えっ、、、◯◯かい? お前の1周忌の準備をこれからしなくちゃいけないと思ってたんだよ…。昨日、高校時代に着ていた制服が押入れから出てきてね…。(ひたすら沈黙)」

彼女いわく、電話をかけた方は恐怖でおののき、罪悪感も同時に感じるだろう、というのだ。
そして重要なのは「昨日、高校時代に着ていた制服が押入れから出てきてね…」のくだりだ。

ヒトは想像する生き物なので、五感に訴えられると弱い。
聴く「お化け屋敷」となる!

もし、それが夜なら人の疲れや判断力が低下する。
その時間帯を利用し、感情をあおるのだ。
「恐怖感」「罪悪感」を誘発させれば、まともに思考をすることが出来ない。
電話の向こうの相手は混乱するだろう。

そういった、心理を利用し、対処している人もいるかもしれない。