一億総活躍の布石に!? 高齢者が「職場体験」する東京都の新事業

2015年10月16日ニュースと考察

平成24年に「高年齢者雇用安定法」が改正されたことで、企業で働く60歳以上雇用者は雇用の延長が可能になりました。

また、65歳以上の高齢者人口が増加する中で、この世代の雇用促進への対策もなされています。東京都では、東京しごと財団を通して、高齢者に実際に「職場体験」してもらう事業をスタートさせました。
記事を引用します。

 東京都は65歳以上の求職者を対象にした職場体験事業「しごとチャ
レンジ65」の募集を始めた。高齢者の雇用に関心がある都内企業を募
り、体験を希望する求職者を受け入れてもらう。実際の仕事を体験する
ことで求職者と企業の双方のミスマッチを解消し、高齢者の雇用につな
げる。

 公益財団法人東京しごと財団を通じ、東京労働局と連携して事業を実
施する。高年齢者に職場体験してもらう事業は初めてといい、1日3時
間程度で、最大3日間体験してもらう予定。受け入れ企業には謝礼金と
して1日当たり5200円を支払う。

 予算は約1600万円で、50人程度の高齢者に職場体験に参加して
もらう計画。都以外の在住者でも参加できる。

 事業ではまずハローワークの担当者が受け入れ企業を開拓し、求人を
集める。体験を希望する高齢者は東京しごとセンターに求職の登録をし
た上で、アドバイザーが職務経歴などをみて最適な企業を紹介する。

 東京しごとセンターでは55歳以上を対象にしたシニアコーナーで2
014年度に約8000人の新規登録があった。1800人以上が就職
したが、このうち約4割が65歳以上。一度、仕事を体験できれば、さ
らに高年齢者の就職を促進できるとみている。

(日本経済新聞2015年10月8日より)

東京しごとセンターの平成26年度のデータによると、65歳以上の人で東京しごとセンターに新規登録したのは年間約2300人、就職したのは約700人。
シニア世代では、働く意欲のある方がだまだいらっしゃいます。
このたび発表された「職場体験」がスタートすることで、企業と人のニーズがあい、うまくマッチングできるとよいなと思います。

仕事体験で思い出すのは子どもたちがいろいろな職業を楽しく体験する「キッザニア」。ここでは楽しく学べて仕事の理解を深めることができます。
個人的に、シニアの職場体験事業も、ガチガチな「お試し期間」というカタいものでなく、キッザニア的に楽しく体験できたらよいなと思います。

先日、第3次安倍改造内閣の発足を受けて記者会見した安倍総理は

「これからも経済最優先。経済政策を一層強化していかなければならないこの内閣は『未来へ挑戦する内閣』だ。
少子高齢化に歯止めをかけ、50年後も人口1億人を維持する。
誰もが今よりも、もう1歩前へ踏み出すことができる社会を創る。
『一億総活躍』という輝かしい未来を切り開くため、新しい挑戦を始める」

と述べています。

私的には「一億総活躍」という言葉が刺さりました。
仕事を通じてつちかった知識も経験も豊かなこの世代になると、企業に所属することで能力を発揮する方も多いと思いますが、自営、フリーランスでも働ける「仕組み」をつくっていくことも大切かと。

趣味やボランティア、海外旅行といった退職後の年金生活で「悠々自適」といったイメージは今は有効ですが、3人に1人が65歳以上になるといわれる将来は「生涯現役」のカラーが濃厚になっているかもしれませんね。