高齢の独居男性は2.7倍!孤食は鬱リスクを高める

ニュースと考察

1人で食事をするより、誰かと一緒に食事をする方が鬱になるリスクが低いようです。

 独りで食事をすることが多い「孤食」の高齢者は、一緒に食事をする人がいる高齢者に比べて鬱になりやすいとの研究結果を、東京大の谷友香子研究員(栄養疫学)らの研究チームが発表した。独り暮らしの場合、女性の孤食は鬱の可能性が1・4倍、男性は2・7倍にもなった。

 平成22年の時点で気分が落ち込むなどの鬱傾向がなく、要介護認定を受けていない全国の65歳以上の約3万7千人が協力。独り暮らしの人は男性で85%、女性で79%が孤食だった。

 3年後に約4400人が「高齢者用鬱尺度(GDS)」という評価法で鬱傾向と判定。家族形態と性別で解析すると、独り暮らしの男性は孤食だと鬱になる可能性が2・7倍、女性は独り暮らしでも誰かと暮らしていても、約1・4倍となった。

引用 http://www.sankei.com/life/news/151027/lif1510270030-n1.html

誰かと一緒に食事をすることは、心理にも作用します。
美味しいものを食べるという行為は脳に快楽物質を分泌させるからです。

この快楽物質が脳内に満たされている時、一体、何が起こるのでしょうか。

実は幸せ、楽しい、嬉しいという気分に満たされた時、人はその場で話した内容が記憶に残ることがわかっています。

これは食事に限らず、講演会でもアッと驚くような仕掛け(たとえば、マジックやダンス)を取り入れることも同じ効果があります。話の理解が深まるし、楽しい記憶とともに講演内容を忘れないのです。

誰かと一緒に食事をするってことは、記憶に関することにも意味あるのですね。

■男女で異なる脳のタイプも鬱リスクに関係する?

このニュースのデータで興味深いのが、女性が鬱になる可能性が独居でも誰かと暮らしていても、男性の約半分という数字。

これは女性の共感脳に理由があると思われます。

たとえば、美味しいと評判の鳥の唐揚げについての話題が出たとしましょう。

女性脳は「えー、そんなに美味しいなら、今度一緒に食べに行こう!」
男性脳は「その店より、◯◯の方が絶対に美味しい!」

女性脳は一緒に味わう方向に話が進みやすいのですが、男性脳は「競争」になってしまいがち。競争することなく、仲間とともに食べることもありますが、それは「共感」よりも「同意」のニュアンスかることが多いのです。

このように、女性脳は男性脳のように「優劣」ではなく、皆と一緒に行うことに安心感があるのがベース。

孤食で鬱になりやすいことへの対策として、独居高齢者と一緒に食事を味わうサービス(訪問でも、近所に集まってもらうのも)は、意外とニーズがあるかもしれませんね。