移住か、既存資源の活用か。東京圏の高齢者移住について
東京圏内の高齢者人口が進むと、介護施設が不足してしまう・・・。
昨年、地方創生会議で発表された予測をもとに、政府は東京圏から地方へ高齢者の移住を促す「CCRC構想」を進めようとしています。
介護が必要になってからの移住は体力的にも厳しいし、その土地にちゃんと適応できるかどうか不安もあります。
しかし、地方でも介護施設は不足する可能性があり、既存資源(高齢者住宅、国有地の貸し出しで新たな施設を作る)を活用することで、首都圏でも介護の受け皿を確保できるのでは?という見方もあります。
自治体は事業者と協力して、高齢者の住まいや活動の場、医療・介護
サービスの提供体制を整備する。このような取り組みに交付金を出すこ
とを盛り込んだ地域再生法改正案を今国会で成立させる方針だ。この構想を支えているのが民間有識者でつくる日本創成会議(座長・
増田寛也元総務相)が昨年公表した推計だ。推計によると東京都と周辺
3県では2025年に介護施設が約13万人不足する。一方で医療や介
護の受け入れ力が高い地方の41地域を挙げ、これらの地域への移住促
進を考えるべきだとした。これとは異なる推計を実施したのは介護施設の企画・調査などを実施
しているタイムラプランニングアンドオペレーティング(東京・千代田)
同社が集めた最新の介護施設データなどを基に計算したところ、30年
には全国の政令指定都市・中核市の7割以上で介護施設は不足するとの
結果が出た。創成会議推計で余力があるとされた地域の一部もこの中に
含まれる。東京圏はこちらの推計でも不足するが、25年の不足数は約11万人
分と、創成会議の推計より若干縮小する。さらに、サービス付き高齢者
向け住宅などに介護スタッフを付けて介護施設化することで「約8割の
不足が解消できる」とした。介護人材の確保は全国的な課題だが、同社
の田村明孝社長は「既存資源を生かして高齢者の受け皿を確保する方が
現実的ではないか」と指摘する。(中略)
かつて政府はリゾート法(総合保養地域整備法)を制定し、様々な助
成で全国各地にリゾート施設をつくったものの、破綻する事業が相次い
だ。「生涯活躍のまち構想」をこの二の舞にしてはいけない。高齢者に
とっても有意義で持続可能な計画が必要になる。(日本経済新聞2016年3月13日(日)より抜粋)
首都圏で不足が懸念される介護施設を増やすため、政府は国有地を貸し出す方針を打ち出しています。
その第一弾が、世田谷区にある財務省の宿舎の貸し出し(広さ4180平方メートル)。財務省宿舎の跡地を世田谷区の社会福祉法人が特別養護老人ホームを整備する予定です。
これから、国有地(既存資源)を貸し出しての介護施設は誕生することでしょう。
移住についてですが、念願かなって愛着のある国内外の土地で余生を楽しむためなら自発的に移り住みたいと考える人もいると思います。が、一方「介護を受けること」を前提とした移住は果たして、生きがいにつながるのかな?とも思います。
移住は介護や医療の問題だけでなく、その人の個性や趣味、生きがいも含めて検討することが必要ですね。
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