規制のグレーゾーンを解消。保険適用外の健康関連市場に注目
規制のグレーゾーンを解消し、新事業の保険適用外の健康関連サービス分野が注目を集めています。
「グレーゾーン解消制度」は、企業の個々の事業内容に即して規制改革を進めていくことを狙い、創設されました。
規制の曖昧な部分を明確にする政府の仕組みを活用し、企業が医療・
健康に関連した新たな事業を始める動きが出てきた。薬局を訪れた外国
人に電話で通訳が薬を説明したり、健康診断費用の決済に使えるカード
を発行したりする新サービスが春以降に次々と登場する見通しだ。政府
は異業種やベンチャー企業の参入を後押しすることで、保険適用外の健
康関連市場を2020年に今の2.5倍の10兆円まで広げることを目
指す。– あいまい規制解消で –
企業が活用しているのは「グレーゾーン解消制度」。検討している事
業が法令に抵触するかが分からない場合に、政府に照会すれば短期間で
規制のグレーゾーンが白か黒かを回答する。14年にできたが、昨年後
半利用が加速し、足元の実績は約60件に達した。医療・介護の支援事業を展開するドリームキャッチャー(大阪市)は、
薬局を訪れた外国人を対象とした通訳サービスを年内にも始める。英中
韓の3カ国語に対応できるコールセンターを設置。提携した薬局を訪れ
た外国人に通訳が電話で薬を説明したり、副作用歴の有無を聞いたりす
る。薬剤師の資格を持たない人が薬の説明をしても、通訳ならば薬剤師法
などに抵触しないことが確認できたため、実現に踏み切ることにした。高齢者の増加や健康志向の高まりを背景に、健康維持・管理に役立つ
サービスの需要は今後拡大すると予想され、国は成長戦略の柱の一つに
位置づけている。ただ医療・健康分野は人名に関わるだけに規制も多く、
独創的なサービスほど実際に展開しようとすると、法令違反のリスクが
壁になることが多い。「あいまい規制」の解消が進めば、異業種から健康分野に参入する動
きも広がりそうだ。凸版印刷とNPO法人の日本人間ドック健診協会は、健康診断の代金支払
いに使えるプリペイドカードを年内にも販売する。子供から親にプレゼ
ントする需要があると見込んだためだ。健診費用のプリペイドカード決
済が医療法で禁じた「営利目的の活動」にあたらないかが心配だったが、
事前に「営利にあたらない」と確認できたため事業化に踏み切る。日本の国民医療費は毎年増え続け、13年度時点で約40兆円。25
年度は60兆円近くまで増える見通し。保険外の健康関連サービスが今
よりも拡充・普及すれば、予防効果によって医療費の膨張を抑える効果
が期待できる。保険給付や財政支出を伴わないサービスが成長すれば、
日本の内需の底上げにもつながる。政府の試算では、公的保険が適用されない健康関連産業の市場規模は
13年時点で4兆円。政府は異業種の参入などを広げて、20年までに
10兆円に拡大することを目指す。(日本経済新聞2016年1月27日(水)14版より抜粋)
グレーゾーン=ニッチということでしょうか。←ビミョーともいえる。
凸版印刷とNPO法人「日本人間ドック健診協会」のプリペイドカード発行は、健康診断の代金を支払う際、とても役に立ちそうですね。これからおおいに活用されそうなこのカード。今までなかったのが不思議なくらいで、「医療法にひっかかるかもしれない」という規制にたいしての懸案する時間が長かったのかしら?という気もします。
グレーゾーン解消制度は、平成26年1月20日に施行された「産業競争力強化法」の新規事業にチャレンジする事業者を後押しするための制度で、「企業実証特例制度」とともに創設されました。
つまりは、新しい事業を考案し、活動したいと考える事業者が、規制の適用範囲が不明確な分野において、規制適用の有無を確認することができるというもの。
カンタンにいえば、何か新しいアイデアでビジネスをしたいと考えた際、規制の対象になる・ならない(特定の分野の特定の法律に違反していないか?)を国に確認できる制度というわけです。
ただし、「解消制度」という名前がややこしく、国がグレーゾーンを解消してくれるのではなく、あくまで「確認」。
新事業を行う側はあらかじめ、進出する分野の法令などを特定しなければなりません。
さて、一石を投じると輪を生み、これからぞくぞくとグレーゾーンを「白か黒かはっきりさせよう」という動きになっていくのでしょう。健康関連分野に参入するベンチャーや企業の新事業など、新しいサービスが楽しみですね。