時を忘れる明治神宮西参道と宝物殿

2015年9月27日ライフスタイル

緑の深い社叢が脇につづく南参道を通り、明治神宮本殿に参拝。
南参道を通ってきた人のほとんどは再び同じ参道を通り、御苑(清正井がある)や休憩所に立ち寄ったり、原宿駅方面に戻るのではないでしょうか。

この日は西参道を通って、初めて宝物殿方面へ行ってみました。

西参道は原宿から続く南参道の喧騒がウソのよう。
人の姿もまばらだけに静謐で、樹木の緑の存在感が強く、歩いていると森の奥の奥まで、引き込まれていく錯覚に陥りそうで。

緑の精霊が生息している?

そう信じたくなるほど、まだ(かろうじて)荒らされていない静かな場所。

宝物殿2_R

何度も訪れているけれど、明治神宮のこんな貌は知らなかった。

本殿を後に、およそ10分間の歩行中、異世界と現実の境い目に身を置いているというのか、不思議な感覚に包まれていた。
この原稿を書いている今でさえ、あの時のことを思うと、頭がボーッとしてしまう。

そんな、感覚のタクトが停るのは、大きな芝生が広がる空間に踏み込み、突如として視界が変わった時から。
今までこの芝生広場を知らなかったのが悔やまれるほど、空まで飛べそうな解放感たっぷりの空間。

宝物殿3_R

■鉄筋コンクリートで建造された正倉院風の建物

宝物殿はその芝生広場を見下ろす小高い場所にある。
開館は土日祝のみ。
とはいえ、明治神宮本殿の様子とは異なり、入館する人は少ない。
私が入った時は日本人男性1人と欧米人カップルが1組。

この宝物殿は、明治神宮が創建された翌年の1921(大正10)年に竣工されたもの。
建築様式は高床式で知られる奈良の正倉院を思わせる校倉風大床造り(あぜくらふうおおゆかづくり)で、日本初期を代表する鉄筋コンクリートの建造物。

宝物殿1_R

簡単にいえば、正倉院が木造建築であるのに対し、こちらは正倉院風の建物を花崗岩張りの鉄筋コンクリートで建造したってこと。
そして、敷地内の建造物の配置は寝殿造りとなっています。

宝物殿の設計を手がけたのは大江新太郎(1876ー1935)。東京帝国大学工科大学を卒業後、日光東照宮の修復、明治神宮の造営にも関わり、高野山霊宝館や神田明神、厳島神社宝物館なども手がけた建築家としても知られています。

この宝物殿には明治神宮の御祭神である、明治天皇と昭憲皇太后が日常的にお使いになっていた品々を保管・展示。展示室そのものは思ったほど広くはなく、混雑もないので、1つ1つをゆっくり鑑賞できることがうれしい。
壁一面に飾られた、歴代の天皇の肖像画は圧巻。出口付近には6頭の馬がひいたという、優美な車体デザインにうっとりする明治天皇お召の六頭曳儀装車の展示も。

宝物殿と目の前に広がる芝生広場のエリアは、明治神宮の穴場といっていいかも。
ウワサによると、このあたりは都内でも強力なエネルギーのある、パワースポットだとか!?

宝物殿付近まで来ると、最寄りの駅は参宮橋駅か代々木駅。
原宿駅から南参道を通ってきた人は再び来た道を散策がてら戻るのもよし。予定が立て込んでいる人は参宮橋駅か代々木駅を利用する方がベターでしょう。

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