新国立競技場建設案のザハ・ハディドが設計した東大門デザインプラザ

2016年5月26日旅行

昨日7月17日。安倍首相は新国立競技場建設案について「現在の計画を白紙に戻し、ゼロベースで計画を見直すと決断した」と発表しました。

2012年に建築コンペで選ばれた、英国在住・イラク人建築家、ザハ・ハディドの新国立競技場建設デザインは
「巨大な自転車用のヘルメットのよう」と不評だったほか、激しい議論の的となったのは約2500億円もの建設費用。

近年開催されたオリンピックのメインスタジアムでは飛び抜けてお高い建設費用なのです。

●備忘録として記しておきます。
2004年アテネ「オリンピックスタジアム」 建設費355億円(修繕費)
2008年北京 「北京国家体育場」建設費513億円
2012年ロンドン「オリンピックスタジアム」建設費900億円
2016年リオデジャネイロ「エスタジオ・ド・マラカナン」建設(リノベーション)費550億円

アテネ以降に建設されたスタジアムとくらべて、新国立競技場の建設費がいかに天文学的数字があるかがわかります。
その内訳は計り知れませんが、白紙に戻したということは、建築を手がけることに決まっていたザハ・ハディドに違約金を支払うことになるのでしょう。

■ソウルにあるザハ・ハディドの建築物

新国立競技場のデザインをめぐり「渦中の人」だったザハ・バディドですが、
おとなり韓国・ソウルで作品を見ることができます。

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その施設とは、東大門デザインプラザ(DDP)
昨年3月に開館したこの施設。東大門でタッカンマリ(鳥一羽を使った鍋)を食し、付近を散歩していると、突然スペイシーな建物があらわれ、その奇抜なデザインに驚きました。
不時着陸した巨大UFOのよう。

東大門市場といえば、言わずとしれたファッションタウン。
昔ながらの衣料問屋と近代的なファッションビルが立ち並び、バイヤーたちが深夜まで出入りする、エキサイティングな街。
韓国ドラマのユ・アイン主演の「ファッション王 」やクォン・サンウと少女時代のユナが出演した「シンデレラマン 」では、東大門市場がしばしば登場し、内部の様子などが詳しく描かれています。

さて、巨大UFO…ではなく、このDDPはアートの展覧会や大型イベントスペース、ショッピングモールなどで構成された施設です。

■人を呼ぶ建築物

彼女のデザインに関しては、新国立競技場はじめ、いろいろな意見がありますが、施設がオープンして以来、東大門市場周辺の流動人口が20%も増えたといいます。
商圏の起爆剤といえるでしょう。
実際、週末ということもあり、親子連れも多く、アートに造詣が深そうなスタイリッシュな雰囲気のどちらかというと若い世代の入館者が目を引きました。

展示スペースの棟に足を踏み入れてみると、天井が高くて開放的。
ゆったりとした室内空間が広がります。
ここは最上階にある展示室の脇にある休憩スペース。
この日はあいにく雨でしたが、
お天気のよい日はガラスからもれてくる陽光を全身に浴びると気持ちいいだろーな。
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館内のスロープには、ところどころにソファが
置いてあります。
アートやデザインが柱となった施設だけあり、
ソファの意匠もスタイリッシュ。
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ザハ・ハディドの新国立競技場のデザインが白紙に戻されたこと。それが正解なのがとうかはわかりません。

けれど、彼女は外観の印象をいい意味で裏切り、館内に足を踏み入れた人の精神をやさしく包み込み、じわじわ開放していく空間の作り手であることは間違いありません。

DDPでは建物を巡るツアーを実施しています。
効率よく、そして建築の詳細を知るならぜひ、ツアーを利用してはいかがでしょう。

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