ヨーロッパの景観を水彩画で表現。水彩画家・鈴木新さん

2016年2月19日スキルな人たち

20年にわたって毎年ヨーロッパ各地を訪れ、作品を制作している水彩画家・鈴木新(すずきあらた)さん。もとはグラフィックデザインの仕事をされていました。

コンピュータでデザインするようになった現在とは異なり、当時のグラフィックの世界は手で線を引っぱり、空白を足し引きし、「手描きのスケッチが描けてこそ、一流のデザイナー」といわれていた頃。鈴木さんも同様、広告のラフをはじめとする制作物にペンを走らせていた。

グラフィックデザイナーだった鈴木さんが、水彩画家として出発する転機となったのはオーストリアの首都ウィーンを訪れた時のこと。
「街を歩き、その景観に圧倒されました。旅先の写真を撮影しようとたくさんフィルムを持っていきましたが、写真より自分の絵でその記憶をとどめたいと思ったのです」

その思いに突き動かされ、すぐにウィーンの画材屋へと向かった鈴木さん。
そして、入手した画材道具一式が旅の友に。
ここだと感じた場所をスケッチしつづけ、思い出を残していった。

以降、毎年のようにヨーロッパ各地にスケッチ旅行で訪れるように。

「どこかへ旅行すると、よく土地の思い出を写真に残します。そして旅から帰り、いつもの生活に戻るとその写真を見て、あの時はこうだった、あそこの街は楽しかった…と、旅を振り返りますよね。私にとっては絵がその役目を果たしてくれているような気がします。

スケッチをしている時にそばを通りかかった人の顔やどんな話をしたのか。その場にはどんなにおいがただよっていたのか…。そのとき、その場所でどんなことを感じていたのか。自分の描いた絵がその旅をよみがえらせてくれるんですよね」

絵描きという自分の表現手段を見つけたオーストリアから帰国し、しばらくはグラフィックデザインと並行して作品を制作していた鈴木さんに、画業に転向するチャンスが訪れる。

それは絵を入れる額縁を求めるため、ある画材屋を訪れた時のこと。

「お店の人から『これは誰の絵ですか?』と尋ねられたんです。自分が描いたと伝えると、扱わせてほしいと言われたんですよ。『あなたの絵は売れるから』って。あるだけの作品を持って行ったら、本当に全部売れたんです」

画商も兼ねた画材屋との出会いを機に、さまざまなご縁に恵まれ、鈴木さんは水彩画家として活動していく。
今では、ライフワークといえるヨーロッパ・スケッチ旅行を通しての作品制作をはじめ、水彩画やスケッチの技法をおしえる教室の主宰、通信講座の講師として、水彩画の魅力を伝えている。

■イタリア・トスカーナ地方へのスケッチ旅行

2015年7月には、奥様の薫さんとイタリア・トスカーナ地方へ。
古都と美しい自然が心にしみわたる地を巡るため、クルマを走らせた。

イタリア・ルネッサンスの中心地フィレンツェをはじめ、文化遺産や自然景観に恵まれたイタリア中西部に位置するトスカーナ地方は、有名なワインやオリーブオイルの生産地、そして美食の町として知られる。

この記事の一番上の写真はトスカーナの古都シエナ郊外にて。
キャンティヒルズの美しい景色を望む宿「ヴィラ スカッチャペンシエリ」の庭でスケッチをしている鈴木さんの姿だ。

それでは、鈴木さんがスケッチ旅行で訪れたトスカーナの風景を紹介しよう。
(写真 小根山薫)

●城塞都市ルッカ
周囲4キロメートルあまりを城壁で囲まれた城塞都市。
トスカ等で知られる19世紀の作曲家ジャコモ・プッチーニの生誕地として知られ、ローマ時代は植民都市の後、自治地区になった。

ルッカ広場2

アンフィテアトロ広場はローマ時代の円形闘技場の遺構を再利用した広場で、楕円形の建物の1階にはレストランやお土産屋となっている。
円形の広場を利用したカフェのテラス席が広がっている。

ルッカ広場①

●行きつくまでが大変なキャンティの隠れ家的なホテルへ
キャンティにあるLocanda Le Piazze(ロカンダ レ ピアッツェ)は16世紀築の旧農家を利用した小さな高級ブティックホテル。
フィレンツェとシエナの間、カステッリーナ・イン・キアンティから6kmの場所にあり、周辺はブドウ園。
丘の上にあり、田園地帯のパノラマビューを望む。

キャンティ宿(ロカンダ レ ピアッツェ)

●「ルネッサンスの真珠」といわれるモンテプルチャーノにて
ルネッサンス時代の素晴らしい教会や建築、芸術などが町のあちらこちらに残るモンテプルチャ-ノは、現在も当時の美しさをとどめている。
町のいたるところで、音楽の調べが。

モンテプルチャーノ

トスカーナのレンタカー&道路事情についての記事はこちら↓
グレードアップをすすめられた時は? トスカーナのレンタカー&道路事情1
進入禁止ZTLにはご注意を。 トスカーナのレンタカー&道路事情2

■トスカーナ各地を描いた作品が2016年カレンダーに

さて、鈴木さんがこのスケッチ旅行で制作した作品を使った2016年のカレンダー(B5サイズ)を紹介しましょう。
毎月1作品、7月のトスカーナの青い空の下で描かれた風景を採用し、描かれた街についてのコメントも添えられている、こちらのカレンダー。水彩画のやわらかな配色センスと透明感のある情緒豊かさに癒されるだろう。

imageカレンダー3_R

また、トスカーナファン、ヨーロッパを描いた水彩画を愛好する方へのギフトとしても喜ばれるはず。月替りでトスカーナの風景が楽しめます。

image鈴木さん絵_R

 

image鈴木1 ●鈴木新の水彩画2016年版カレンダー1部1,080円(消費税込)+送料(クリックポスト160円)
ご希望の方はお問い合わせフォームからご連絡ください。

鈴木新HPはこちらから