空き家活用。これからも展開が期待される高齢者住宅

ニュースと考察

先日、国土交通省の発表により、現在、空き家となっている民間の賃貸物件をサービス付き高齢者向け住宅として活用することがわかりました。

現存する空き家を活用することで設備コストが抑えられ、家賃も割安に設定されることが期待できそうです。

(前略)
 高齢化が進む郊外のニュータウンなどでは、一戸建ての空き家を登録
し、複数の物件を対象にサービスを提供する「分散型サービス付き高齢
者向け住宅」とすることも求めた。

 高齢化に伴い、医療・介護サービスの提供がさらに重要になると指摘。
医療機関や介護施設と適切に連携していると、市町村が判断した場合に
ついて、整備費補助の重点対象とするよう提言した。

 報告書によると、お年寄りが見守りなどの支援を受けられるサービス
付き高齢者向け住宅は年々増え、3月末時点で19万9000戸。居室
部分の平均面積は22平方メートルと狭い一方、食事や介護サービス費
を除く月々の家賃は平均9万9000円で、入居者の中心は一定の所得
や資産のある人となっている。

(日本農業新聞2016年4月28日(木)12版より)

今年3月も国土交通省は、全国の空き家を活用し、子育てファミリーや高齢者が割安な家賃で入居できる制度設計に乗り出す方針を固めたばかり。

実際にこの制度が実現すると

全国に存在する空き家が息を吹き返す
子育て世帯や高齢者世帯の居住インフラがととのう

この2点が相互メリットとなりますね。

現在、全国のサ高住の棟数は6007棟、約20万戸(2016年3月末)。
サ高住で提供されるサービスは「食事の提供」96%、「入浴等の介護」46%、「調理などの家事」49%。

出典:サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム、高齢者住宅研究所

サービス付き高齢者向け住宅の最低要件は、安否確認と生活相談を備えることが必須条件で、ヘルパー2級以上の資格をもつスタッフが常駐することになっています。

政府はこれから空き家を利用してサ高住を作る方針ですが、人材の確保や配食や見守りなどのケアサービスを受ける仕組みについても整備を期待したいところ。

さて昨年、主婦向けクラウドソーシングの「シュフティ」がスタートさせた、空き家情報データベース「空き家活用ポータル」など、現存する空き家の実態を把握する手段も増えました。

所有する空き家の管理を専門業者に頼んでいる所有者は、なんと2%。
(平成26年空家実態調査 国土交通省住宅局より)

親から相続した実家を放置しているケースが目立つようです。

これからも空き家+高齢者住宅の展開がありそうです。
空き家を活用するには不動産業界との連携が欠かせないでしょうし、ハコの充実に加えて、安定した人材、入居者のケアサービスを受ける仕組みなども、より進んでいくことを期待しています。

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