3という数字は人間に転機をもたらす!?
「三日坊主」「石の上にも三年」など、3という数字は、昔から人の習慣に関わっているようです。
プレゼンでも3という数字は大きな意味を持ち、卓越したプレゼンターでもあった故スティーブ・ジョブズはプレゼンを行う時には、内容をしばしば3つにまとめることがあったようです。
彼が2005年に、アメリカはスタンフォード大学の卒業式で行ったスピーチは多くの人に感動を届けました。あの有名な「ステイ・ハングリー、ステイ・フーリッシュ」はこのスピーチの言葉です。
このスピーチの導入で、彼は次のように「3」という数字を用いています。
世界でもっとも優秀な大学の卒業式に同席できて光栄です。私は大学を卒業したことがありません。実のところ、きょうが人生でもっとも大学卒業に近づいた日です。本日は自分が生きてきた経験から、3つの話をさせてください。たいしたことではない。たった3つです。
スピーチの続きはこちらから。
■3は調整役
人間には物事を2つのグループに分けてしまう習性があるそうです。
このとき、3つに分けることで(ある意味、習性を撹乱させることでが)プレゼンの内容を心に残りやすくさせるという見方もできます。
この3という数字ですが、
◯物事を選ぶ時、白か黒の2択だと判断しにくいけれど、もう1つ選択できる項目を用意することで、選びやすくする
という効果があります。
レストランに食事に行ったときのことを思い出してみてください。
ワインも楽しめる、ちょっとお高いそのお店のディナーはコースのみで3種。
シチュエーションにもよりますが、迷ったときは中間の価格帯のコースを選ぶ人が多いのです。
ある男性が好意を持っている女性をデートに誘い、初めての二人きりで食事をすることになりました。
彼の心の中は
「一番安いコースだと、ケチな人って思われるし。
かといって、初めてのデートで一番高いのだと、気張ってるのがバレるし。しかもお財布がピンチになっちゃう」
です。
そんな時に中間の価格帯が用意されていると、彼はメンツが保たれ、お財布のことを気にすることなく、食事が楽しめます。その気配が伝わると、彼女もリラックスし、ふたりは楽しい時間を過ごすことができるのです。
彼は帰り道にこう評価するでしょう。
その3つのコースを用意しているレストランを「使える」店だと。
■3日、3週間、3ヵ月以上続けられる取り組みは合っている
行動科学の分野でも、あることを習慣化するのに妥当なのは3日、3週間、3ヶ月といわれます。
3日続けられたら3週間、3週間できたら3ヶ月、そして1年といった具合に、日数を伸ばしていくと、体に染み込んでいくもの。
ある英国人のセラピストに取材でお会いした際、彼は瞑想を習慣にするといい、とアドバイスしてもらったことがあります。
「何かを自分のものにしたければ、今日はやりたくないって時ほど、丁寧に行うこと。それが物事を習慣づける秘訣だよ」と。
よくいわれることですが、人の細胞の9割は1年で入れ替わるといいます。
ということは、1年も習慣化されたことはその人を作っているといえます。
まずは3日から始めてはいかがでしょう。
逆説的な言い方をすれば、3日、3週間で飽きる取り組みは、一度見直してみるのもよいかも。
といった具合に、3という数字は人の転機と密接に関わっているようです。
まずは何かを始める時は3日間のお試し期間を設けてみてはいかがでしょう。