相手にYesと言わせる電話営業テク 原始的な声というツール1
前回からの続きです。
1章 原始的な声というツール
人間の言語はおそらく、文字よりも言葉が先に生まれたのではないかと思います。
動物の鳴き声をまねた音声からはじまり、その後、言葉が生まれたのではないでしょうか。
声は人間の原始的な道具といえます。
対面の営業に比べて物理的な移動がない分、電話営業やテレフォンアポインターはお客様とのコミュニケーションが多いのが特徴です。
たくさんの人と「声」を通してつながることができる……。
これは、電話を使った営業の魅力ともいえます。
電話営業やテレフォンアポインターは一見、無機的な仕事と思われるでしょうが、たくさんの人と電話を通じてコミュニケーションがとれます。
そのことに喜びを覚えると、しめたもの。
この仕事にやりがいを感じるはずです。
聴覚は視覚にも大きく影響すると思います。
顔の見えない相手に、なにげなく発した声が、相手の視覚的情報に無意識に訴えることもあると思うのです。
さて、ここで、自分が「聴いてみたい」声のイメージを描いてみてください。
「さわやかで、知的」
「明るくて、愛らしい」
「落ち着いて、信頼感を感じる」
好みのイメージに合わせて、あなたの声を発してみてください。
●第一声が肝心
電話営業やテレフォンアポイントなどの仕事のキャリアが長い人と話していると、決まってこんな話題が出ます。
それは相手が放つ最初の『もしもし』」で、その後の展開がある程度読める。
というものです。
これは動物的なカンというのでしょうか。
お客様の最初の『もしもし』には、膨大な情報が含まれているように思えます。
あるお客様の「もしもし」には、「今は来客中だから後にして」という『おとりこみ中』の情報。
別のお客様の「もしもし」には、「仕事で一段落ついてお茶を飲んでいた」という『リラックス』の情報。
お客様の具体的な状況まではわかりませんが、電話営業を長く続けていると、なんとなく、相手が電話の受話器をとった瞬間の気分を察することができます。
すると、こちらも発する言葉が変わってきます。
電話営業やテレフォンアポイントの場合、たいていマニュアルが用意されているものですが、相手の様子を感じて言葉を即座に選んでいくのも重要なポイントだと思います。
あなたは相手の気分を察する勘を働かせていますか。
●トークは「間トリズム」主義で
「間(ま)」という言葉は日本独特の文化です。
「間がよい」「間がわるい」「間のびする」
この「間」という言葉を他の言葉で表現すると、息つぎ、タイミング、余白、リズム、テンポ、すきま……などが浮かびます。
間は、どちらかというと抽象的な概念として用いられることが多いようです。
また、間はよく、タイミングの同義として用いられることがあります。
しかし、間という言葉にはタイミングよりも、はるかに奥深い印象があります。
タイミングが時間を主体とすれば、間は時間だけでなく、それに関わる当事者や物事の本質的な情報までも含んでいるようです。
さて、電話営業やテレフォンアポインターの仕事では、この「間」を読めるセンスが求められます。
きわめて抽象的な言葉である「間」ですが、私は電話で話している相手がフッと吐息をもらした時や声色が変わった時などを「間」と考えます。
その時に感じた相手の「間」を受け止めて、話す内容や自分の喋るトーンを変えてみたり、スローにしてみたり。
つまり、間=気を利かせるチャンスととらえます。
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