世田谷区の「認知症おうちカフェ キラリ会」へ。 足こぎ車イス体験も
「室内ハイキングに参加するつもりでどうぞ!」
世田谷区内で毎月第3土曜日に「認知症カフェ キラリ会」を主催されている“キラリさん”こと、金子節子さんがそう仰ったのは、取材2日前のこと。
想像以上にアットホームな集まりなのかも!?
お初の認知症カフェ取材。
金子さんのあたたかいおコトバに好奇心の容量がフルになると「アウェー」などという過剰な自意識はさっさとどこかに消え、開催当日をワクワクと待つばかりに。
2月20日当日は雨。
世田谷区にある会場(金子さんのお宅)に遅れてうかがうと、都立松沢病院精神科の厚東知成先生がお話されている最中。
10数名の方たちがレビー小体型認知症の歴史や症例などについて耳を傾けていらっしゃいました。
レビー小体型認知症。
認知症は知っていても「レビー小体型」がついた認知症はあまり知られていないかも。
実は私も今回の取材をすることになり、初めて知りました。
ここで少しだけレビー小体型認知症のお話を。
レビー小体型認知症はアルツハイマー型認知症に次いで多いといわれ、1976年に精神科医の小阪憲司先生によって発見されました。
一般にレビーの発症は男性が多く、その割合は女性の約2倍だとか。
認知症はもの忘れが激しい、同じことを何度も話すというイメージがありますが、 レビーは「部屋の中にいないものが見える」「目の前の人が他人にすり替わる」といった、幻視や誤認妄想が特徴的。
厚東(ことう)先生によると、精神疾患と診断されることもあり、パーキンソン病とよく似た症状も見られるそうです。
この認知症カフェを主催する金子さんは、3年前に他界されたご主人が若年レビー小体型認知症で、介護の経験をお持ちです。
ご主人の介護に向かい合い、その体験からレビーの実体を世の中に発信し、よりよい対応策などを語り合い、支え合えるようにと、金子さんが若年レビーの家族会を立ち上げたのが2012年7月のこと。
その後、2015年8月からは『認知症おうちカフェ キラリ会』という名前に。
「世田谷区で年に約1000人単位で認知症の人が増えているという現状を知り、レビーを含む認知症全般を軸に、介護をする人も受ける人も納得するケアや情報、体験を共有するコミュニティが作れたらと思い、スタートさせました」
と、金子さん。
この認知症カフェでは、精神科の先生方が認知症の動向を講演されるほか、非薬物療法の可能性を否定しないというスタンスを大切にしていて、笑いヨガや生アロエの試食など、健康や生活に役立つ体験会も設けています。
厚東先生によるレビー小体型認知症のお話の途中では、50年前に認知症と診断された70 代の男性が「先生におしえたいことがあります」と、指が黒ずみ、白っぽい線(しわ)があらわれるとレビーの疑いがあるという、ご自身の経験をシェアされる場面も。
専門家のレクチャーに耳を傾けつつも、何か気になったことや話したいことがあれば気軽に発言、質問できる場って、肩の力が抜けてていい。カジュアルで楽しい座学といった雰囲気に、だんだん和んでいきました。
そしてこの日は、足こぎ車イスの試乗会も。
プロファンドという名前のこちらの車イス。
会の主催者である金子さんとともにラジオ番組「シンクロ☆プラス 」(レインボータウンFM)でパーソナリティーをつとめ、この車イスの普及をサポートしている友野秀樹さんが持って来られたものです。
「シンクロニシティ」や「引き寄せ」が特技という友野さん。担当されるラジオ番組では、ご自身が引き寄せた「未常識」な情報を紹介されているそうです。
足こぎ車イスに、いちはやく試乗された80代の女性は「これ乗ってると、楽しいわよ~」を連発。
その笑顔に触発され、私も体験。
ペダルに足を固定し、こいでみる。
ラクラク前に進んで楽しい! ゴーカート感覚であっちこっちに移動できる~。
向きを変えるグリップ(下の写真)の使い方もすぐに慣れ、その場でバレリーナのようにクルッと360度回転も。
自分の足で動ける喜びが実感できるこの車イスは、最終的にはケアマネージャーの判断によりますが、ケアプランで認められると福祉用具貸与(レンタル)も可能。
使って楽しい気分になるイノベーションがどんどん世に出まわるとよいな~\(^o^)/
次々に試乗され、笑顔を見せる皆さんを見て、そう思いました。
認知症おうちカフェのレポートは続きます。
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◯こちらの動画で足こぎ車イスの開発秘話や製作、リハビリに用いられている様子が見られます。