菊からパワーを!あす9月9日は重陽の節句

2015年9月11日ライフスタイル

あす9月9日は「重陽の節句」。
別名を「菊の節句」といい、菊の花を用いて不老長寿を願います。和菓子屋さんでは菊をモチーフにしたお菓子を作っているところもあるでしょう。

重陽の節句は中国から伝わったもので、日本では平安時代ごろに貴族の宮中行事となったようです。
※菊の花は奈良時代に遣唐使によってもたらされたそう。
宮中では菊の花を鑑賞する「観菊の宴」をもうけ、貴族は延命長寿を祈りながら、菊の花を酒に浸した菊酒を酌み交わすなど、雅な時間を過ごしました。

この節句が民間に広まり、五節句の1つとして親しまれるようになったのは江戸時代のことで、厄祓いや長寿祈願をする行事となったようです。

なぜ、9月9日なのでしょう?

それには理由があります。
実は奇数は縁起の良い陽数、偶数は縁起の悪い陰数と考られえ、五節句はその奇数が並ぶ日をお祝いします。
(1月7日の人日の節句←七草粥を食べる日。3月3日の上巳の節句←ひな祭り、5月5日の端午の節句、7月7日の七夕など)

9は奇数の中で一番大きな陽数で、9が重なる9月9日を、陽が重なると書いて「重陽の節句」と定めたわけです。

また、旧暦の9月9日は新暦でいえば10月中ごろにあたります。
九州で9月9日を「お九日(くんち)」と呼んでいて、毎年10月に行われる有名なお祭り「長崎くんち」「唐津くんち」の名称は旧暦9月9日に由来するもの。

■菊の花は魔力を秘めている!?

菊はサクラと並ぶ、日本の国花。
明治2年に天皇家では十六重弁の菊の花を「菊の御紋」として用いられました。

菊の花は花期が長く、丈夫。
延寿の効能、そして不老長寿の霊力があると信じられ、古来から薬草として用いられてきました。
菊を食したり、菊湯や菊酒などは、菊のもつ生命力を身体に取り入れて健康を保ちたいというあらわれでしょう。

前述した平安時代の貴族たちに広まった重陽の節句では、菊の花の美しさを競う会を開催されたといいます。そして 江戸時代に入ると、菊の品種が多く生み出され「菊合わせ」と呼ばれる新花の品評会がはじまりました。

■菊の花を顔にあてるアンチエイジング美容法

平安時代の貴族は、重陽の節句を迎えると菊の花を使った美容法を行いました。

その名は「菊の着綿(きくのきせわた)」。

菊の着綿という字面が風雅。
そしてなんとウットリとするような響きなのでしょう。

これは重陽の節句の前日、8日に菊の花を真綿で覆って香りを移し、その翌朝には菊の花の香りと露に湿ったこの真綿で身体を拭くという行為。若さと健康を保つため、菊の薬効を利用したものです。

これは今でいうアンチエイジング!?
源氏物語の紫式部も「菊の着綿」を行ったことを歌に残しているから、いかに菊が美容や健康によいと信じられていたかがわかります。

ところで、菊は英語でchrysanthemum(クリサンサマム) といいます。
金を意味するギリシャ語の「クリソス」+花という意味のギリシャ語「アンテモン」の組み合わせで、直訳すると「黄金の花」。

この単語をイギリス人は子供に、こう教えます。

「菊の中には3人の少女がいるのさ。
3人の名前はchrys(クリス)とan(アン)とthemum(シモン)だよ」と。