芋茶巾に挑戦!デイサービスのお料理レクの現場へ
介護施設で行われるお料理レクリエーション。
参加して、充実感を感じる利用者は多いのではないでしょうか。
お料理レクは「混ぜる」「つぶす」「たたく」「切る」「こねる」といった動きが心身の機能を向上をサポートしたり、レク中に利用者同士が支え合ったり、「これはこうした方がよい」といったアドバイスも生まれ、活発なコミュニケーションが生まれることもあります。
デイサービスセンター駒沢(株式会社ケアサービス)ではお料理レクに時折、和菓子づくりを取り入れています。
「年代的に和菓子を好まれる方々が多いようです。昔、親しんだ食べものだったら、普段は作る過程を見ているだけの人でも自発的に参加されることがありますね」と語るのは、所長の棚橋邦彦さん。
取材に訪れた日は、23人の利用者の方々が4つのテーブルに別れ、「芋茶巾」に挑戦されました。
生活背景や認知症の症状が全く異なる人を同じグループにすると、行き違いが生じたり、楽しめない場合があるので、メンバーの組み合わせは重要だとか。
明るく、快活なレク担当スタッフの方がよく通る声で作り方を説明されると、他のスタッフの方々が、あらかじめふかしたさつまいもを各テーブルに配っていきます。
トントンとさつまいもをつぶす、さつまいもの入ったボールをしっかり押さえる、芋茶巾をのせるための菓子盆を分けるなど、皆さん、それぞれの作業に精を出されました。
作っている途中「さつまいもの原産地はどこでしょう?」と、クイズコーナーも。
(ちなみに原産地はメキシコ!)
佐渡おけさのBGMが流れる室内では、スタッフがテーブルをまわって、お手伝いすることもあるし、同じテーブルの人たちと「ああしたら、こうしたら」と言いながら、作業を進めていくグループも見られました。
さつまいもをすりこぎ棒を使ってリズミカルにつぶされていた70代の男性にお話をうかがうと「戦前は食べるものがなかったからねぇ、だからさつまいもを埼玉の方まで買いに行ってよく食べた。懐かしいよ」。
やがて、そのさつまいもは、バターやお砂糖を加え、なめらかなペースト状に。
サランラップを使ってかたちをととのえた後は、お待ちかねの試食タイム。
前述の70代の男性と一緒のテーブルで芋茶巾を作られた女性は「自分で作ると美味しいね~」と目を細めながら、出来たてのお菓子を口に運んでいらっしゃいました。
食べ終わると、後片付けに入ります。
「毎回、お料理レクの後片付けを率先して行う人がいます。認知症の方ですが、全員のお皿や湯呑みを洗うことで『自分が必要とされている』のを感じるのでしょう。それが励みになっていらっしゃるように思います」と棚橋さん。
こんなふうに利用者の方の意欲をかきたてることも、お料理レクの利点です。
お台所で洗い物を手際よく行われていた女性は、自ら後片付けをすると立候補された方。今回のお料理レクを担当されたスタッフさんと楽しそうにお喋りしながらテキパキと洗い物をされる姿が印象に残りました。
取材協力:デイサービスセンター駒沢さま/世田谷区ケアマネージャー 奥村寿美枝さま
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