広島・原爆ドーム脇。美しき女神像の学徒動員慰霊塔

2016年6月21日旅行

大型観光キャンペーンが当たり、広島への観光客は右肩上がりといいます。
昨年末に実際、広島市街地を歩きましたが、スーツケースや大型リュックサックを背負った外国人観光客の目立つこと。
「お好み村」に入っても、隣りはタイからの母娘、向かい側には英語圏の外国人と、お好み焼きがジュウジュウ焼かれている鉄板を囲むのはインターナショナルな面々。

広島を旅するなら、、宮島と広島平和記念公園(原爆ドーム)はマストという観光客も多いでしょう。実は先月うかがった心理カウンセラー・心屋仁之助さんの講演会は広島平和記念公園にある広島国際会議場で行われました。

今回紹介する学徒動員慰霊塔は原爆ドームの脇にひっそりと建っています。

今まで何度となく広島平和記念公園を訪れていますが、最近になってこの慰霊塔を知りました。
というのも、原爆ドームを訪れた後、ふと近くを見ると、翼の生えた銅像が目に入り、その穏やかなお顔に惹きこまれたからでした。

この五層の塔は慰霊塔で、第2次世界大戦中に増産協力、建物疎開作業などの勤労奉仕に動員されて亡くなった学徒の霊を慰めるために作られたものでした。

塔の前方にあるボタンを押すと、日本語と英語でこの慰霊塔についての解説を聴くことができます。

戦争中、勤労奉仕に動員された学徒はおよそ340万人。
うち、戦禍にたおれたのはおよそ1万人で、そのうち6千余人は原爆に被災して他界したそうです。
将来を夢みることも許されなかった戦時下に生きた、若者たち。
塔の背後には勤労奉仕する彼らの働きぶりを刻んだ4枚のレリーフが。

広島観光協会の案内文より

政府は労働力の不足を補うため、1944(昭和19)年8月に学徒勤労令を発し、中学生以上の生徒は軍需工場等での勤労奉仕が強制されました。
また、11月には、空襲による延焼を防ぐため、民家などの建物を取り壊し防火地帯をつくる建物疎開作業にも、多くの生徒が動員されました。広島市内でも被爆当日、市内で建物疎開作業を行っていた国民学校高等科以上の8,000人以上の生徒のうち、約6,300人が犠牲となりました。
その他に市内の各事業所に出ていた多くの学徒も犠牲者となりました。

塔の高さは12メートルで、有田焼陶板張り仕上げ、末広がりの5層で構成。
私が惹かれた穏やかな顔の御方は「平和の女神像」(ブロンズ像、広島県出身の彫刻家・圓鍔勝三氏の制作)で、塔には平和のシンボル、鳩の像が8羽配されています。

広島平和記念公園を訪れたら、この慰霊塔にも足を運んでみてはいかがでしょう。

この塔と対峙すると感じるでしょう。
戦時下で命を落とした若者たちが生きたかった日の延長を私たちは生きている、と。

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