ロボットタクシーの実証実験。将来は介護施設の巡回車としても?

2016年4月5日ニュースと考察

DeNAとZMPが共同で設立した自動運転のロボットタクシー。
2月29日に神奈川県藤沢市で実証実験をスタートさせました。3月11日まで。

この記事を書いた時は正直、それほどロボットタクシーは身近には思えていませんでしたが、実証実験スタートの映像をみると、ついに未来への一歩が始まったのだなぁという印象を受けました。

実証実験ではモニター10組を自宅からイオン藤沢店までを送迎し、安全面の確認やソフト面の使い勝手などをチェックするのだそう。
これから仙台市や愛知県でも同様の実証実験が行われる予定です。

ロボットタクシーの車両はトヨタ自動車の「エスティマ」を改造したもので、車内にはGPS(全地球測位システム)やAI(人工知能)、ミリ波レーダー、カメラなどを搭載しているそう。

道路の前方と後方の白線をAIで予想しながら走る必要があるので、一車線の公道を走ることは人工知能を学習につながるという。これは今回の実証実験の目的の1つ。

ロボットタクシー株式会社の中島宏社長は「交通弱者が多い地方の過疎地や中山間地域でサービスを実現したい」と抱負を語ります。

中島社長がおっしゃるように、地方の過疎地では交通の便がよくないところが多い。
このような地域に暮らす人が自分でカンタンに配車でき、自動運転で目的地に行くことができたら・・・本当に大助かりです!

また、自動運転のタクシーが開発された背景にはタクシー運転手の高齢化や人材不足も関係しています。

介護業界と同じく、とくに都心部では離職率が高く、万年人材不足に悩まされるタクシー業界。

都内だと、タクシー運転手の平均年齢は54歳だとか。
全国的に 50代が「若手」といわれる業界だそうです。

離職率が高くなる理由には

◯早朝から深夜までの長時間労働で身体の不調を訴える人が多い
◯お客様を自力で見つけなければならない
◯新米ドライバーは複雑な道路事情や地理に慣れてなく、お客様の要求に応じて運転しなければならないプレッシャーがつきまとう

こんな理由があげられます。

ロボットタクシーはこれからオペレーションとシステムの向上をはかり、高齢化や人材不足で採算が合わなくなったタクシー事業者の代わりになることで、人々の移動手段となり、快適な移動を提供できるようになるのでしょう。

ところで、自動運転には2種類あります。1つは有人自動運転(運転の補助)、もう1つは無人自動運転(完全自動運転)です。現在、無人自動運転はジュネーブ道路交通条約および日本の道路交通法により禁止されています。今回の藤沢市での実証実験ではドライバー・オペレーターが乗車し、自動運転走行路以外は手動運転で走行されました。

もし無人自動運転が解禁されると、介護や福祉施設では、送迎を行う巡回車に代わることも考えられます。

将来、道路には自動運転の車、空中には注文を受けて1時間以内に配送するドローンが飛んでいる。そんな光景が当たり前になっているのでしょうか。

追記(2016年4月5日)
3月25日に行われた実証実験の報告会では、中島宏社長が「安全を重視し、想定通りにできた」とコメント。
走行後のアンケートでは9割近くのモニターが「安定していた」「やや安定していた」と評価。なかには「時々、車間距離が開き過ぎる」という意見もあったようです。
今後、ロボットタクシーの実証実験は、走行距離を延ばし、スピードを上げて行われる予定です。