江戸川区の高齢者見守りボランティアに中学生が参加
東京・江戸川区は「福祉の街」として注目を集めています。
高齢者の介護や働く母親などの施策推進し、地域社会のモデルとして有名です。
行政と区民が半世紀以上にわたって社会環境づくりに取り組んできた江戸川区では、小・中学生が区民まつりで高齢者に肩もみを実施したり、敬老の日に銭湯で背中を流すといった、子どもたちが高齢者とふれあうための企画を実施してきました。
「世代間のつながり」
こんなコピーを行政の福祉パンフレットで目にします。
たいていは精神論で、具体的に施策は?と突っ込みたくなるのですが、江戸川区においては子どもが高齢者を、高齢者か子どもをふれあう機会をつくることに尽力しています。
さて、江戸川区が来月からこんな取り組みを始めます。
東京都江戸川区は9月から、中学生のボランティアが高齢者宅を訪問
して交流する見守り事業をはじめる。区内に住む高齢者は約14万人で、
ひとり暮らしの世帯も多い。区は29日に中学生を対象に説明会を開く。
まずは50世帯前後の定期訪問を予定している。中学生による高齢者見
守りは全国的にも珍しいという。(中略)
29日の説明会には、ジュニア訪問員になりたいと希望した区内の中
学生約120人が参加する予定だ。訪問先を紹介する民生委員らと顔合わせ
をし、活動日時などを調整する。11月までは民生委員らがチームに同
行し、それ以降は中学生が主体的に活動する。
(日本経済新聞2015年8月21日より抜粋)
江戸川区の中学生から成る「訪問ボランティア」は中学生2、3人が1チームとなり、地域の民生委員に紹介された高齢者の自宅を月1回のペースで訪ね、安否の確認や話し相手を務めるというもの。実施期間は来年3月までの予定ですが、来年度以降も継続する予定なのだそうです。
子どもとシニアが自然に結びつける土壌をつくった行政の力って大きいと思う。この記事を読んで「やるな、江戸川区!」と思った人は私だけでないはず。
さて、江戸川区=学童保育をあげられる人も多いと思います。
「福祉の江戸川区」が全国区の知名度になったのは、「すくすくスクール」の存在でしょう。
全国から視察者から殺到している江戸川区推進する「すくすくスクール」(2005年開始)は、子どもが放課後の時間を過ごす先進的なモデルとして知られています。
すくすくスクールはいわゆる「学童」ですが、登録した人は全員参加でき、学童にありがちな利用者専用の部屋ではなく、学校の施設を解放して行われています。
当初は子どもの「人間関係を豊かにしていきたい」という願いからスタートしたこの取り組み。
すくすくスクールの講師を務めるのは地域の住民で、中には高齢者も含まれています。
こうして高齢者と子どもの接点ができ、地域での関わりが生まれる。
子どもは身近なおとなとは異なる、ぐっと年上の人とふれあうことで情緒が豊かになるだろうし、なにより講師からおそわったこと、そして講師自身を忘れない。
今回、中学生たちがボランティアをかって出たのは自然の成り行きかもしれません。