都会でフィトンチッド体験。シニアに愛される等々力渓谷

2015年10月11日ライフスタイル

東急大井町線の等々力駅で下車。
駅から線路を渡り、スーパーマーケット成城石井を右折すると、全長1kmにわたる渓谷につながる階段が。

この階段を下りると、そこには幽玄な別世界が広がっていることに驚きます。

鬱蒼という言葉が真上から落ちてきそうなほど、深い緑が頭上を覆い、ゴーッとたけだけしい
音をたてながら流れる小川。そしてむせかえしそうな緑の濃厚なかおり。

近くには環八も走り、都会化されていく街中にあるのに、よくぞ破壊されなかったこと!
その姿に、秘境風情を感じてしまう。

早朝の渓谷では、1人すれちがうと衣が擦れ合うほど幅の狭い一本道で、シニア世代の方、数人とすれ違いました。
深い緑と水のある場所がおりなす静寂の時間は心のいただきものですね。

■森を歩くと気分がよくなるのは?

ドイツの友人が言うには、何かに悩んでいる人がいたら「森に入ってくれば」と声をかけるそう。

それはドイツ・ミュンヘンを旅した時のこと。
南部の大都市には街中に広大なエングリッシャーガルテン(Englischer Garten、イギリス庭園)があり、公園内の森のベンチでは思索にふける人、読書をする人。森は第2の書斎か、仕事場かというぐらい、森は人の生活に近い場所でした。

ここで、私は「森は人を助けてくれるもの」という感覚を初めて知りました。
心の自制心や鎮静などに森は働きかけてくれるような気がしたわけで。
そして、そのエネルギーは無尽蔵かも、と感じるほどに。

等々力渓谷は森ではありませんが、頭上を覆いかぶさるほどの樹木の繁殖は森に近いものがあります。
樹木の深い中を歩くと独特の深いミドリミドリした!?においを感じることがあります。
それがフィトンチッド。

このフィトンチッドはヒトの血中にとりこまれることがわかりました。
日本経済新聞(2014/2/3 11:44)より、引用します。

森の中を歩くと「フィトンチッド」と呼ばれる森の香り成分が血中に取り込まれることを、旭川医大の中村正雄名誉教授らの研究チームが突き止めた。国内で初めての研究成果とみられ、森林浴がリラックスにつながるメカニズムの解明に役立ちそうだ。

 フィトンチッドはマツなどの樹木が放出する揮発性化学物質の総称。アロマテラピーの精油に含まれることが多く、血圧低下や免疫力を高める効果も報告されている。

 実験は昨年夏から秋にかけて北海道津別町の屈斜路湖周辺で行った。森林を1時間歩いた男性4人の血液を10ミリリットルずつ採取。ガスクロマトグラフ質量分析計で調べると、森を歩く前に比べて、フィトンチッドに当たる数種類の化学物質の濃度が高くなっていたという。

 中村名誉教授は「フィトンチッドは肺で吸収された後、血液中で濃縮されているのではないか。森を歩くと気分が良くなる理由を知る手掛かりになる」と話している。

なのだそう。

フィトンチッドが体内に入ると脳が司令を出し、リラックスが促されるのでしょう。
等々力渓谷は緑深い光景もそうですが、都心ではなかなか感じられない緑のかおりをかぐことができるのが、ヒトに愛されているのかも。

なお、渓谷への階段はけっこう急なので、とくに高齢者の方は手すりをしっかり握って降りてください。

そして、遊歩道はたいてい濡れているので、ツルッと滑りやすくなっています。
しかも滑ると水の中に落ちる可能性も(・・;)
よって、スニーカーなど裏底がゴムになった滑りにくい靴でお出かけください。

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