「お後がコワい」ことから名付けられた!?曼珠紗華

2015年9月21日ライフスタイル

写真は下鴨神社・糺の森で見つけた曼珠紗華。
なぜこんなところに?と不可思議に思える、大木の隆起した根っこの近くで、1輪だけ花を咲かせていました。

曼珠紗華。
お彼岸の頃に咲くことから「彼岸花」とも呼ばれます。

いつも感心するのですが、この花はちゃんとお彼岸の頃になると開花する…。
毎年、不思議に思うことの1つで、この花を河原端や道の片すみに見つけると秋になったのだなぁと実感するわけですが。

すっと背を伸ばし、紅に染まった繊細な花びらと放射状のツノは「妖艶」にも「不気味」にも見え、ちょっとだけヘンな気持ちになってしまいます。
とくに他の花がまったく土手の途中で、1輪の彼岸花が茎をのばし、紅の花を咲かせているのに遭遇すると、ドキッとしてしまう。
そんな存在感のある花。

北原白秋の詩「思ひ出」(明治44年)のなかに「曼珠沙華」があります。
※山田耕筰の曲にのせた歌曲でもある。

GONSHAN.GONSHAN.何処へゆく
赤い御墓の曼珠沙華、
曼珠沙華、
けふも手折りに来たわいな

(略)

GONSHAN. GONSHAN. 何故泣くろ
何時まで取っても曼珠沙華、
曼珠沙華、
恐や、赤しや、まだ七つ

GONSHAN(ゴンシャン)とは、女性に対する敬称の「ゴサマ」「オゴサマ」が変化したものといわれています。
北原白秋のこの詩を解説したら、長い話になってしまうので割愛しますが、子どもをなくした女性が死を悲しむあまり、彼岸花を手折り、なくした子の歳を数えるという内容です。

墓所に彼岸花が多いのは、この花のにおい(異臭)や根や茎、葉にふくまれている毒が働き、遺体を動物から守るためだとか。
土手やあぜ道にも植えられているのも同様。
ネズミやモグラが独特のにおいや毒をきらうので、植えたといいます。

地域によっては地獄花、幽霊花とも呼ばれるのは、この花を食べたら「彼岸行き」といわれることから。
妖艶で美しいけど、お後がコワいようで(´;ω;`)