慣用句の「逆鱗にふれる」。実は龍に関係している件
「あの話をすると、逆鱗にふれる」
など、 人を怒らせること を表す慣用句が「逆鱗にふれる」。
実はこの慣用句って「龍」が関係しています。
龍は伝説の生き物ですが、この龍のノドの下には、逆さに生えているウロコがあります。
この逆さにはえているウロコ(逆鱗)。龍はここを人間に触られるのを非常に嫌い、触れられると怒り狂うといわれています。
ここから「逆鱗にふれる」=激怒させるという慣用句が生まれたのですね。
ちなみに「竜」と「龍」の文字ですが、中国・殷の時代の甲骨文字には「竜」が見られます。
よって、「竜」が源字。
しかし、易経では「竜」だと威厳が感じられないからでしょうか、いかにも「風格あります」とか「いかめしいですけど、何か?」といわんばかりに画数の多い「龍」という字が、ちゃっかり使われています。
中国で、龍は帝自身をあらわす言葉でもあったので、帝の顔をあらわす「竜顔」より「龍顔」の方が字画が多いし、文字からそこはかとなく威厳も漂うので、この字を採用されたと思われます(私見)。
簡単、シンプルより、難解で人を寄せつけない。それは文字にも表れる。
民衆と帝の間には地と天のような開きがあるということですかしらw
ところで、龍には階級がございます。
まず、親分が龍。
容易に雲を呼んで風を起こして、昇天できます。
次が
蛟(コウ、ミズチ)
こちらも簡単に昇天可能。
そして
虹(コウ、オス)
蜺(ゲイ、メス)
空中に足跡を残す。その足跡とは虹!
蜃(シン)
應(オウ)
幻の風景をつくる。海なら海市(日本では蜃気楼)、山でなら山市。
※「蜃」の字には龍でもある「辰」と虫で構成されていますね。
その下に
きゅう(オスとメス)
運がよければ昇天可能。
そして最後に
璃(チ)
蟠(ハン)
嵐を呼ぶ力をもつ。角、翼がないので森林や民家にいる。
最後にメルヘンなお話を。
中国では、龍は帝の乗り物で、かの黄帝が死を迎えた時は、龍に乗って昇天したと表現されます。
話には続きもあり、皇帝を慕う家臣や民衆は共に天に昇りたいと、龍の胴やシッポ、ヒゲにまで群がったので、その重みに耐えかねたヒゲが抜け落ちてしまった…。
実はその抜け落ちたヒゲって、身近に見られるものだったりします。
何でしょー?
それは多年草のリュウノヒゲ。
あー、うちの庭にもあったよなーというぐらい、そこここに、はえています。
まさか、あの草は龍から抜け落ちたヒゲだったとは!
なんてことのない草ですが、あれが龍のヒゲだと思えば、ありがたいというもの。
参考文献
龍と蛇(ナーガ)―権威の象徴と豊かな水の神 (アジアをゆく)