音楽は認知症患者を目覚めさせる。映画『パーソナルソング』

2016年6月23日映画の紹介

アメリカのドキュメンタリー映画『パーソナルソング』(原題『ALIVE INSIDE』、2014年)をご存じでしょうか。
介護施設に入居しているお年寄りと音楽との関わりを追った作品です。

施設ですごす認知症患者の女性は若い頃の記憶を思い出すことができなくなっていました。
けれど、彼女が昔、親しんだ音楽を聴かせると過去を語り始めます。
無気力だった男性入居者もまた、ヘッドフォンでゴスペルを聴かせると表情がとたんに明るくなり、足踏みをはじめ、メロディを口ずさむまでに・・・。

音楽を聴かせることは昔の思い出を引き出し、人生に喜びを取り戻すことにつながる。
介護の現場で音楽がいかに人に希望を与えるか、そして生きがいをもたらすか。

音楽療法は人の記憶が入っていき、その人を勇気づけ、本来の人格を呼び戻す力を見つけていくことができる。 作品はそんな可能性を伝えています。

パーソナル・ソング

以下、amazonの内容紹介より。

★音楽を聴かせただけで、驚くほどの変化を見せるお年寄りたち。その姿を目の当たりにした監督マイケル・ロサト=ベネットは、3年の月日をかけて丁寧な取材を重ね、この作品を完成させた。彼が追うのは音楽療法プログラムを普及させるために奮闘を続けるダン・コーエン氏の姿、そして高齢者の尊厳がないがしろにされる現代アメリカの社会の現状だ。

介護施設で暮らすお年寄りは時として人間性が無視され、自分の存在意義を見失い、孤独の中に生きている。介護をする立場の人たちも明日への希望を見いだせずに心身を磨り減らす。そこには出口の見えない厳しい現実が立ちふさがる。しかし、薬ではなく、音楽のチカラで認知症患者の心の目を覚まし、人生の喜びと、人との繋がりと、活力とを取り戻すことは可能なのだ。

★現代アメリカが直面する問題点を鋭くえぐり出すと同時に、ひとつの希望を提示するこの作品は、2014年のサンダンス国際映画祭において、ドキュメンタリー部門で観客賞を受賞。インターネットの映画サイトRotten Tomatoesでも観客の満足度で94%と高い数字を記録。2014年12月から日本でも劇場公開され、日本テレ系「世界一受けたい授業」を始め、NHK解説委員室「くらし解説」、フジテレビ「ノンストップ!」、TBS「ひるおび!」、読売テレビ「情報ライブ ミヤネ屋」など、数多くのメディアでも取り上げられた。

音楽もそうですが、「パーソナルムービー」や「パーソナルブック」など、若い頃に何度もふれた作品も「パーソナルソング」同様の効果があるのかもしれません。

もし、認知症やアルツハイマーになったら、昔好きだった作品にふれると、脳に記憶された音や映像、コトバに反応し、心の目を覚ますことができるかもしれません。
この作品を見ると、介護する側は認知症の人が昔好きだった音楽や本、アーティストを知っておきたくなるはずです。

日本でも介護をする側、される側の両方の立場があります。そのどちらにも希望を与えてくれる映画『パーソナルソング』。
まずは、この映像を見てみてください。
家族の顔も名前も思い出せない状態の認知症の人たちが、若い時に好きだった音楽を聴くと・・・

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