おすすめ本『自分の家で死にたい』(村松静子)

2015年10月13日本の紹介

村松静子さん著作の『自分の家で死にたい―死に逝く人、看取る人の幸せな終末期の考え方』(海竜社)という本があります。

著者の村松さんは医療機関の看護師として長年勤められた後、訪問介護事業を立ち上げたパイオニア的な存在。
介護の現場に身をおく村松さんが、死に逝く人、看取る人、そして医療関係の実情も加味し「自分の家で死を迎える」ことについて書かれていらっしゃいます。

この本を手にとったのは、あるお医者さんの奥様が亡き夫(産婦人科医)との思い出をかたちに残したく、本を作りたいというご依頼があった際、参考資料を探している際に、書店で見かけたのです。

まず、タイトルにグッときました。
「自分の家で死にたい」
インパクトがありますよね。
私の他界した祖母はよく「布団の上で死ねたら本望」と言っていましたが、布団しかり、自分の自宅で死を迎えるということは家族に看取られるということでもあり、有機的な死を迎えられるように思います。

読みすすめたところ、とても読みやすく、すぐに読みおえました。

医療業界の人向けというよりは、これから看取りの経験する方、あるいは看取られる立場の方も対象です。
村松さんが実際に経験されてきた事例をまじえて、丁寧に書いていらっしゃいます。
「この章で改めて知っておくべきこと」というポイントが各章にまとめられていて、丁寧な制作を感じます。

2025年には団塊世代が後期高齢者となります。
現状のままいくと、病院で死を迎えられないということも考えられます。

内閣府の平成24年版 高齢社会白書(概要版)によると、在宅介護、在宅死をのぞむ人の割合が多いことがわかります。
下記に引用します。

「日常生活を送る上で介護が必要になった場合に、どこで介護を受けたいか」についてみると、男女とも「自宅で介護してほしい」人が最も多いが、男性は50.7%、女性は35.1%と、男性のほうが自宅での介護を希望する割合が高くなっている。

自宅以外では、「介護老人福祉施設に入所したい」(男性17.0%、女性19.5%)、「病院などの医療機関に入院したい」(男性13.6%、女性19.6%)、「介護老人保健施設を利用したい」(男性9.9%、女性12.7%)が多いが、いずれも男性に比べて女性のほうが割合が高くなっている。

「治る見込みがない病気になった場合、どこで最期を迎えたいか」についてみると、「自宅」が54.6%で最も多く、「病院などの医療施設」が26.4%で、両者で全体の8割を占めている

という調査結果が発表されています。

自分の死ぬ場所について、在宅死について、あらためて考えさせられる内容です。